01.Eメールとっくに太陽はビルの隙間へと姿を消し、その名残すら欠片もなく。 ようやくここ数日取り組んでいた書類がまとまった。 ギシ、と。寄りかかられた椅子がその重圧に耐えきれず音を出す。 「ブルース」 『なんでしょう、炎山さま』 「メールを打つ」 誰に、とは言わない。 それが分からないほど、己のナビは無能ではない。 『件名は』 「無しでかまわん」 『かしこまりました』 そして開かれたウインドウに、カーソルを合わせる。 部屋に先まで続いていたのと同じ音が響く。が、その軽快さはまるで違う。 約二分後に音は止み、室内は無人になった。 夕食後。 目の前の机にぶちまけられているのは、明日提出の宿題。 熱斗は自室で鉛筆を握りしめ、着実に紙を黒く埋めていた。曰く、やる気になった、らしい。 傍らでは、時折かけられる質問に答えるため、ロックマンがデスクトップに待機している。 と、急に熱斗がその体を起こし辺りを見回した。 「・・・・・・?」 『どうかした?熱斗君』 「いや、今メール来てなかったか、ロックマン」 着信音がしたような気がしたが、それはあまりにも微か。 小首を傾げながら、確認をとる。 『やだな〜、来てないよ。某カリメロからなんて。気のせい気のせい』 ともに浮かべられた笑顔は、目元が笑みと正反対で。 ぼそりと言われた一節は、聞いては駄目だと本能が判断を下し、脳が認識することはなかった。 「そっか」 だから、熱斗は知らない。 『さ、宿題片づけよう』 この時IPCの副社長から来たメールが、バスターで打たれていたことを。なんだろ。 ロックが黒ひ。 ブル兄とカリメロが阿吽だ。 てかお題に合ってるのか合ってないのか(滝汗)