07.見つめる
   最近、頻繁に視線を感じるようになった。    それは気になるほどにはあからさまな物であり、発信源が“戦闘意欲の先走り”と称される人物からであれば、 居心地の悪さを感じるには十分すぎる条件を伴っているのは当たり前。  思い返せば出会い頭にいきなりデリートされかけたのだ。たとえ殺気が込められていようといよまいと、 こうじっと見られていると自然に警戒をしてしまう。 さらに言えばこのまま黙秘を続けるといきなり斬りかかれる可能性がないわけではない。 と言うかむしろありすぎて怖いこの状態。    たっぷり時間をかけて決断は下した。後は実行に移すだけ。次に彼女と会ったときに訊こうと決めていた。 今がその時。がんばれ自分。いくら何でも呼び止めただけでバトルに発展することは(おそらく)ないバズだ。   「ねぇ、スイウ。ちょっといいかな?」    だから今日、メールを届けに訪れた彼女を呼び止めた。  振り返る動きに沿って、長い髪が緩やかな曲線を描いた。  開かれている右目はいつもと同じ様に無感情。何を思っているのか分かりゃしない。 これで言い出していいものか・・・。まぁ、言うしかないのだけれど。   「何だ?」 「最近、僕のこと・・その、見てる・・・よね」 「・・・・・・」    ・・・ねぇ、その間はなんですか?どうして無言?っていうか眉、今微妙に動いたよね。 何か気に障ることだった?今の。  こういう手合いはどうにもこうにもやりにくい。一から十の情報を取り出さなくちゃとても会話にならないから。  仏頂面は一人だけで十分なのに。   「なにか、僕悪い事したかな」    重ねておそるおそる僕は訊いた。  そして、今度こそ彼女の目が動いた。それもはっきりと。    ・・・・・・ものすごく珍しいモノを見た気がする。   「・・・別にないが。心当たりもないのに何故そんなことを訊く?」 「何故って訊かれても・・・いや、そう見られてると、ちょっと困るって言うかその、え・・っとぉ」 「そうか」    そうか、と言って分かったんだか分かってないんだか。 あぁでもこの様子だと絶対“僕が困っている”事実までしか理解していないか。 彼女がその先まで考えているはずがない。   「それで、さ。なおそうとか・・・」    まぁ取り敢えず、めげずに言うだけ言ってみる。言ってみた。けれど・・・、   「・・・・・・」 「――思うわけないか」    上目遣いに見た先では石の像かと思えるほどの動きのなさ。諦めるしかなさそうだった。  さてどうしよう。敵意等がないことだけでも分かったのだからこれでいいか。 でもそれでは根本的な解決に至らないんじゃあ?いやいや、これで安心できたと思いたい。 これで僕もそれなりに対応を変えれ・・・無理か。   「どうもな、」    考えに没頭するあまり、問題の根源人物を忘れていた。  それまで突っ立ったままだった彼女は、何かを悟った表情で右手を腰に廻し左手をあごに添え、 あたかも考え込むポーズをとった。  続く言葉に微かな希望を込めてみる。     「“面白い”らしい」     「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」 「今スキャンしてみたのだがな、お前等は見ていて“面白い”ようだ」    呟くようにだけど、断言された。面白いと。    つまり、だ。面白いから、見てたと?しかも、スキャンするまでそれを自覚すらしていなかったと? スキャンしていたから固まっていたと?   「・・・そう」    気が抜けた。一方的にびくびくしていた自分があほらしくなってきた。    不快なら気を付ける、と短く詫び、他の用件を尋ねた彼女に用は済んだと告げると、 そのままやはり短い別れの言葉を残し帰っていった。       「面白い、ねぇ。・・・・・・どういうこと?」      ――一つの悩みは解消されたが、今度は別の疑問にロックマンは暫く考え込むことになる。            
スイウとの会話はテンポがずれます。 話題が前後します。 慣れないと大変です。 まるでチャットを始めたばかりのにわたずみのように(マテ) (や、タイピング慣れないとさ、会話ずれるじゃんね) スイウ、おそらく同じ事を別の人(ナビ)にもやってるかと(笑) コロコロ表情が変わる彼らはスイウないものを沢山持っていて、 どこかしら興味があるんだろうね。 こうやって影響されてくんだよ、彼女は。 って感じカナ。