888番を踏まれた佐倉壬由紀様に捧げる小説。
壬由紀様のみお持ち帰り可能です。
 
  
  
  
  
[ gray eminence ]
  
  
  
  
  
『ねぇ、ママ、ぐれいエミねんす、て…なあに…?』 
『ウチが訊きたいわ、横文字苦手やねん』 
  
  
それ横文字なのか。 
弟と母の会話を聞いたアタシの頭に浮かんだセリフは、とりあえずそれだった。 
  
  
『テュート…綴りは?』 
『…ん、と…gray…eminence…?』 
『gray…なぁ…フーガ、わかる?』 
『ashesなら大麻なんだけどね』 
  
  
軍人に一般常識外と思われる単語を持ち出さないで頂きたい。 
大概のことはナビとして頭にインプットされてるわけだが、 
それにしてもその微妙に長ったらしい単語は何か。 
  
  
『eminenceで「高位、卓越」じゃなかった?』 
『ほんでもその前にgrayやで?造語とちゃうの?』 
『ぞーご?象牙の仲間?』 
『…テュートは黙ってなさい』 
  
  
3人寄れば、ってよく言うけど3人目がテュートじゃ心もとない。 
ここはひとまずアチェル姉さんに、と思った矢先に。 
優雅に向こうを通り過ぎていくアチェル姉さんの姿。 
  
  
『姉さん!ちょっとこっち来て』 
『聞こえてましてよ。gray eminenceの意味でしょう?』 
  
  
少し遠くからでも通る澄んだ声。 
にっこり笑ったアチェル姉さんは、自分のことを指差して。 
  
  
『私や貴蝶さんのことですわ♪』 
  
  
と。 
にっこりニコニコいい笑顔で、去っていった。 
  
  
『アチェ…姉の、コト?』 
『…さっぱりわからんわ』 
  
  
小首をかしげるテュートとジルバ母さんの声を背に受けながら。 
アタシはアハハ、と乾いた笑いを零した。 
  
  
『…gray eminence…「陰の実力者」、ね』 
  
  
小さなアタシのつぶやきは、弟と母には聞こえなかったようだった。 
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
新しく知った単語は使いたくなりますよね。 
というわけで「gray eminence」=「陰の実力者、黒幕」でした。 
アチェル姉さんらしいかなと再び登場していただきました。 
お待たせしてスイマセンでした壬由紀様(土下座) 
888番ゲット、おめでとうございます。