02:背中に 
  
  
  
「お前の身体、意外に傷がないんだな」 
  
  
情事の後の気だるげな一時。 
不意にかけられた言葉に、思わず目を丸くした。 
私ともあろう者が、相手がおきているか寝ているか、気づかなかったとは。 
だが次に、憤慨すべきことに気づいた私は。 
ベッドに上体を起こした私の隣で、いまだ寝転がるバレルの頭を軽く叩いた。 
  
  
「お主はあれか、私をもっと弱いとでも思っていたか」 
「弱さとかではなく、だ。職業柄そうかと」 
  
  
悪びれもせず告げるバレルに、毒気を抜かれる。 
小さくため息をつくと、無骨な指が腰を這い回る感覚に気づく。 
  
  
「これ、やめんか」 
「綺麗な肌だな」 
  
  
その指はそのまま私の腰にまわる腕となり、強く引き寄せられた。 
まだしっとりと汗ばむ身体が触れ合う熱。 
肌に触れることができる限り、唇を寄せるバレル。 
腰から脇腹にそって、ゆっくりと唇で辿られる。 
  
  
「バレル」 
「ん?」 
「まだ足りないなどとぬかす気はなかろうな?」 
「…どうだろう」 
  
  
珍しく咽喉の奥で笑いながら、なおもバレルは唇を這わせる。 
空気が、塗り替えられていく。 
気だるげな空気から、甘ったるい空気に。 
いくら我慢強い方ではあっても、長くそのように触られては。 
自制心が、崩れ始める。 
  
  
「っ…」 
  
  
いつの間にか上体を起こしたバレルに、背後からやんわりと抱きしめられる。 
普段なら、背中に気配があるというのは―なんとも居心地が悪いのだが。 
バレルは、依頼主であることが多いのに。 
このような関係になってから。 
彼の気配にだけは、別の反応が起きるようになって。 
その穏やかな気配が、私を―狂わせる。 
  
  
「…は、ぁ…」 
  
  
滅多に上がらない声が、私の唇から零れ落ちた。 
うなじに触れる唇。 
しきりに撫でられる、脚。 
思わず目を見開く。 
普通に見ただけでは判らないほどに、色素の薄い眼で。 
視界に入らないバレルを、必死で探した。 
  
  
「ふ…っ、バレ…ル…」 
「何だ?ミヤビ」 
「…いや…もう、好きに…しろ…」 
  
  
このような甘い空間は、自分には必要ない。 
少し前までなら、はっきりとそう言い切れた。 
それが。 
こんなにも、個人に執着し。 
…依存する事になろうとは。 
  
  
「…あぁ、やはり綺麗だな、お前は」 
「っん!」 
  
  
背骨に沿って、ゆっくりと唇が下降する。 
肩甲骨の辺りまで辿られて、身体を震わせた瞬間。 
  
  
「…ぅっ…!」 
  
  
きつく、吸い上げられた。 
その後は、何度も何度も―唇が、背中に触れて。 
気が狂いそうなほどの、快感。 
暗殺者でありながら、他人の腕に身を任せ、喘ぐ姿。 
少し前の自分が、私をなじっているような気がした。 
それでも。 
  
  
「…さて…許しもいただけたことだしな」 
「っはぁ…全く、下半身ばかりは若くて、困ったものだ…っ」 
「言ったな?ミヤビ…腰が立たなくしてやっても構わんぞ?」 
  
  
正面を向かされて、きつく抱きしめあう。 
情けない。 
そうは思っても、この腕を振り解けない自分。 
弱くなったものだ。 
そうは思っても、その身体に縋りつく自分。 
背中に刻まれた痕が、疼く。 
自慢だった、傷のない肌。 
それは、強い暗殺者の証でもあるから。 
これからも、この身体に傷を作ることがないように。 
―強くあらねば、と。 
バレルの首に腕を回しながら、頭の片隅で―密やかに誓った。 
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
ゲーム5でお願いします。 
接点それ以外にないからね!(泣 
うーわー… 
大の大人の声って難しい…! 
ちうかここまで声を出すのだろうか。 
よく抱かれる方に回ると男はよく鳴くって聞きますけどね(爆 
あーまたひかれるよ、お客様に… 
そして毎度のごとく偽者。 
口調忘れた…!(ファンにあるまじき行為 orz 
同時刻、カネシャドは普通にラブラブしてそうです。 
ミヤビさんのほうが年上なんでしょうかねぇ?