09:こんな場所で 
  
  
  
『っは…』 
  
  
触れた唇が熱を持つ。 
何度も啄まれるうちに自然と唇は開き、舌が滑り込んでくる。 
悪くない、とは思う。 
彼の事は嫌いではないし、こういった事に抵抗はない。 
…普段なら。 
  
  
『く、ぅ…カ、ネ…殿っ…』 
『なんだ』 
『どう、されたっ…?いきなり、この様な事…っ』 
  
  
一瞬力が緩んだ隙に、舌から逃れた。 
だが、その快楽からは逃れようがなく。 
最早一人で立つことさえままならない。 
気遣ってくれたのか、彼の腕が腰に回る。 
抱き寄せられて…そうして、また口付けが。 
  
  
『…ん、ふっ…』 
  
  
より深くなる口付けに、もう思考する事すら叶わない。 
情けない。 
この程度で…すでに、膝が震えているとは。 
エリアの端、バグが柱のように乱立する場所に…卑猥な水音だけが響く。 
出し抜けに響く硬質の音に、一瞬思考が冴えた。 
  
  
『な…の、音…』 
『メットだ…ほら、こっちを向け』 
  
  
瞬間そらした視線は、また元の位置に戻された。 
後頭部に回った彼の手に、髪をゆっくりと梳かれる。 
あぁ、メットが落とされたという事か。 
ようやく理解して、彼のメットとギアも外されている事に気がついた。 
だから、こちらからもその髪に指を絡める。 
  
  
『ぁ、ふっ…ん、あぅ…っ』 
  
  
何度も口付けながら、お互いをきつく抱きしめあう。 
唇が離れた時には…背後の柱に身体を預けなければ、立っていられない程。 
いくら、リベレートが完了したばかりとはいえ。 
全員解散していて、誰も居ないとはいえども。 
こんな…いつ、誰が通るとも解らない場所で。 
  
  
『んっ、はぁ…非、常識、では…あるまいか…』 
『…すまんな』 
  
  
すらりと細い彼の顎に、唇を寄せると。 
彼の唇は、応えるように額に寄せられた。 
おそらく誰も来ないだろうが。 
それでも抗議したのは。 
…単なる、照れ隠し。 
解っている。 
彼の、らしからぬ行動の理由など。 
…先刻までの、戦いの余韻。 
それ以外に理由など有り得ない。 
自分とてそれは同じ事。 
戦いの高揚感が、快楽と共に身体を駆け巡る。 
その心地よい疼きと渇き。 
渇望する。 
彼の熱と、彼の声…心と、身体を。 
  
  
『やはりお前の傍らは落ち着くな』 
『…それは、光栄だ』 
『手放すのが惜しい…永遠に、手の内におきたいくらいだ…』 
  
  
きつく抱きしめられて、目を丸くする。 
一体…今日はどうしたのだろうか。 
愛されているという、心地のよい熱の中。 
彼の指が、優しく頬を這うのに。 
ようやく思い当たった。 
今回の、リベレートミッション。 
体力ギリギリで挑んだ勝負。 
…間違いなかろう。 
  
  
『…心配させてしまったか』 
『当たり前だ。お前はただでさえ、非力だというのに…』 
『言うてくれるな、拙者が行かねば勝つことは出来なかったであろうに』 
  
  
頬をすりよせ、唇が肌を滑る感触に酔う。 
勝利のための已む無き犠牲。 
以前なら怖れることはなかった役。 
今は…互いに。 
互いがその役を担うことを、これほどまでに怖れている。 
  
  
『出来る事ならば…もう、あの様な事はしないでくれ』 
『…御意…』 
  
  
もう一度。 
今度は自分から口付けを仕掛ける。 
この様な、誰に見られるかも解らぬ場所で。 
長々と抱き合って、口付けあって…肌を重ねる。 
戦いの興奮が、徐々に別の興奮にすり替わるのを。 
知りながらも…理解しながらも。 
彼の背に腕を伸ばす、自分が居た。 
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
どの辺のリベレートかはご想像に任せます! 
中途半端なところで逃走してみました。 
なんだかんだでこの後はしっかり最後までヤったと思われますが 
到底書けそうにないというかホント長くなりそうなので 
ここで打ち止めです。 
携帯で打つと長くてもこの辺までですな。 
世間様では絶対にありえないであろう 
カーネル×シャドー。 
しかも甘々。 
ゲロ甘。 
砂糖が口から出そうな勢いですね。 
早くエロが書けるようになりたいです。