確信犯
    「・・ん」    いつも通りの唇と唇を触れ合わせるだけのキス。  目を開ければ、そこにオレの好きなヤツ。  でも、   「タリナイよ」    こんなんじゃ。  いつまでたってもオママゴトだ。  オレはいつだってアンタをメチャクチャ愛してるのに。    アンタは違うの?       「足りない、とはどういう事だ」 「こんなんじゃ足りないって事」    図体はでかいのに、こういうレンアイごとにはかなり鈍感。  元々軍用なオレらだから、しょうがないと割り切ってしまえばソレまでだけど。  でもホラ。こうやって困ってる姿を見ると、ちょっとした悪戯を思いついてもしょうがないと思わねぇ?   「トマホー・・・」 「なぁ、カーネル」    本当なら肩に腕をまわしたいところだけれど、 身長の差だけはどうにもならないから腰とマントに手を絡めて上目遣いで覗いてやる。   「恋人のキス、して?」    ・・・あ、固まってやんの。  五秒、十秒。  めいっぱい溜めて、んで、ボン。  目立つ髭と同じぐらい真っ赤になって。  あ〜あ、ホント。前途多難って感じだよな、全く。   「な、おま、こ、こいびっ、う、あ・・・」 「なに?どうしたんだ、カーネル?」    ちょっと白々しいかとも思ったけれど、この様子じゃそんな処まで気にしちゃいないだろう。  いつも苦々しく感じている子供の立場をここぞとばかり利用する。  カーネルはテンパリながらもオレを引き剥がそうとしたけれど、ここで素直に離れるオレでもない。   「カーネルは知ってる?恋人のしてるキス。画像じゃオレ良く分かんなくてさ。教えて欲しいんだけどな」 「・・・誰だ、お前にそんなこと吹き込んだ奴は・・・・・・」 「カーネルはオレに映画の断片すら見るなっていいたいの?」 「いや、その、そういう意味では・・無いのだが・・・」    相変わらず下から覗くオレに、口元に手をあてがい目を合わせまいと明後日の方向を見ているカーネル。   「なぁ、・・・教えて?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」    再加熱。  今にも煙を吹き出しそうで、しどろもどろしているカーネルは、確かに可愛いのだけれど。  正直、ここまで奥手だとちょっと腹も立ってくる。   「・・・ト、トマホークマン」 「してくれなら、コッチからしてやるよ」 「な・・・・・・っ!!」    いい具合に力抜いててくれて助かった。  手に絡めていたマントを思いっきり引っ張って、 当然カーネルがバランスを崩した処はオレが背伸びした処と高さがそろって。   「んっ」    奇襲成功。  少し空いたままだった口の中に、オレの舌を滑り込ませる。  舐めて中で動かして。  ちょっとそうしていたら固まってたカーネルも恐る恐る舌を絡めてきて。   「・・は、・・ーネル・・・・・っ」 「ん・・ト、マ・・・・・・」    ちょっと卑猥な水音がなにもない空間に響いて。  それだけで、耳まで侵蝕されてくよう。  歯の裏をなぞるようにゆっくり舐められて。  瞬間、ぞくり、って襲ってきた慣れない感じ。  自分のじゃない唾液とか、息とか。   「・・は、ぁ」    長めのやり取り。  思考回路がびりびりしびれて使い物にならない。  かろうじて見えたのは、離された唇と唇の間に光る糸が掛かり切れたところ。    ・・・流石にいきなりは自分にも刺激が強かった。  やっぱり知識と実践は違うんだと再確認。  腰が砕けてしまったオレは、カーネルの腕の中に収まっていた。   「・・知らないんじゃ、無かったのか?」    責めるでもなく、ただ単に事実確認として。  大好きな低い声が耳にかかる。  同時に背中にまたあの感じ。   「カーネルが先にしてくれたら、知らないままだっただろうね」    ちょっと拗ねたように。ホントは照れくさくて。   「・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・」    オレたちは、一体どっちの方が赤い顔をしていたんだろうか。   「カーネル、」 「なんだ」 「やっぱアンタのこと、メチャクチャスキだ」    顔を合わせないようにしながらも、オレはやっぱりカーネルに抱きついたままだった。          
え、えへvv 裏のくせにエロくないなんて そんな分かり切ったこと言ったらあかんってvv 雑食の本性がかいま見えた瞬間到来。 ・・・にわたもカーネル氏もヘタレMAX。 ・・・・・・・・・・・・・逃げます。